【新訳】行方昭夫訳『サミング・アップ』（岩波文庫）

行方昭夫訳『サミング・アップ』
（岩波文庫、2007年2月16日発行）
原作：“The Summing Up”（1938）
［以下、訳者解説より抜粋。］第１～５章　序に当たる部分で、執筆の動機や姿勢、題名の説明。第６～７章　祖父のこと。両親の思い出。第８～10章　文章修業。スウィフト、ドライデン、アディソンの散文。第11～14章　文章論。明快、簡潔、響きのよさを狙うべき。　　　　　　 欽定訳聖書の文体による悪影響。第15～17章　人生、人間観。本書の圧巻で、最もしばしば引用される部分。第18～21章　独自の人間観の確立過程の説明として、　　　　　　 小学校から中学校、特に医学校での体験談。第22～23章　自己の長所と短所の分析。　　　　　　 恋の至福を味わったことは一度もない、という告白。第24～27章　読書論。流行に釣られてペイター、メレディスを熟読したこと。第28～29章　若い頃の旅行の経験。ドイツ、イタリア旅行。外国語学習論。第30～42章　劇作の回想、演劇論。実験劇から大衆相手の芝居に転向した経緯。　　　　　　 散文劇の限界、思想劇、役者、観客論。第43～45章　『ランベスのライザ』執筆の思い出。第46～50章　作家業の利点と難点、心構え。第51～55章　『人間の絆』執筆の動機。秘密諜報員としての体験、肺結核の発病、　　　　　　 治癒後の中国、南海諸島への旅行。第56～62章　文学論。「雨」執筆の回想から、短篇小説論を展開。　　　　　　 文壇での自己の地位、実験小説批判。文学批評のあり方。第63～77章　哲学談義。この部分はよく整理されているとは言いがたいが、　　　　　　 独我論、観念論、神と悪の問題などのテーマが真剣に　　　　　　 論じられている。　　　　　　 最後に真・美・善を一つずつ取り上げ、善のみ肯定。
中村能三訳『要約すると』（新潮社『サマセットモーム全集 25』、1938）以来69年ぶりの新訳です。